なぜDC-DC絶縁コンバーターを使う必要があるのか?
目次
  1. はじめに - 絶縁型DC-DCコンバータとは?
  2. 物理的および電気的な怪我から人体を守る
  3. バックエンドの負荷デバイスとシステムの保護
  4. 絶縁型DC-DCコンバータが干渉抑制と干渉防止性能を強化する
  5. プラスとマイナスの出力電圧を調整可能にします
  6. バッテリーおよびクロスプラットフォーム互換アプリケーション
  7. まとめ

はじめに - 絶縁型DC-DCコンバータとは?

DC-DCコンバータはDCトランスとも呼ばれ、外部からら供給されるDC電圧を異なるDC電圧に変換するように設計されています。

さまざまなデバイスから指定された電圧範囲が要求されるので、コンバータは常に正確な動作電圧を供給することが不可欠となります。

様々なアプリケーションで、エンジニアは常に 「絶縁型DC-DCコンバーターはなぜ必要なのか?」 を問われます。
間違ったコンバータを選択することで、システムが不安定になったり機器を損傷させたり、安全のリスクにつながる危険性もあります。
このような問題をなくすために、設計初期段階で絶縁型DC-DCコンバータの必要性を評価することはきわめて重要ことになります。

産業機器向けでは、あらゆる環境で使われることを配慮して、MINMAXのパワー・コンバータはその多くが絶縁型DC-DCコンバータとして設計されてます。このコンバータの利点を探りながらなぜ絶縁型が必要不可欠なのかを理解しましょう。



物理的および電気的な怪我から人体を守る

鉄道、再生可能エネルギー、医療機器などの産業分野では、高い入力電圧が物理的・電気的な損傷を人体に与えるリスクがあります。

例えば医療分野には漏れ電流に関する厳しい規制があります。 このような用途の絶縁型DC-DCコンバータには、厳しい強化絶縁規格に適合させる必要があります。

図1 - 医療用電源コンバータにはより高い絶縁・絶縁能力が要求されます

バックエンドの負荷とシステムを保護

絶縁型DC-DCコンバータは、入力と出力の間の電気的な接地ループを切り離し、高電圧サージや突然の落雷からバックエンド側のデバイスを保護します。


図2 - 絶縁コンバーターはバックエンドのデバイスを効果的に保護します

ケース事例

多くの場合、入力電圧はバックエンド側デバイスへ、アナログ信号からデジタル信号に変換されます。

しかし、基板側のインピーダンスによりアナログ回路とデジタル回路の間で干渉が起きる可能性があります。

絶縁型DC-DCコンバーターは、コモン・グラウンド干渉を効果的に防止し、システムの安定性を維持します。


図3  -絶縁型電力変換器は環境からの干渉を効果的に低減できます

絶縁型DC-DCコンバータが干渉の抑制と干渉防止性能を強化

絶縁型DC-DCコンバータは、接地ループを排除して、コモンモード信号、サージ、その他のノイズに起因する干渉の伝播を防止します。

これによりコモンモード干渉の抑制が強化され、遠隔の産業向けの通信ノードで、妨害に敏感なシステムでは信頼性の高い動作が保証されます。

 

図4  -絶縁型コンバータはコモンモード干渉の問題を効果的に解決します

事例

ポテンシャルが高いアイソレーション


電気モーターの制御やバッテリー管理システム、その他多くの場合に使われるシステム制御回路は電源回路とは異なる電位を持っており、高いアイソレーションを待つパワーコンバーターを使うことで低電圧部品が高電圧回路からの受ける影響を防止できます。

ケース事例

シリアル通信バスは、RS-232、RS-485、CAN(Controller Area Network)などの物理ネットワークを通じてデータを伝送します。これらの相互接続されたシステムはそれぞれ独自の電源を持っており、システム間も長い距離で配置されています。 そのため通常、システムの物理的な安全性を確保させるために電源を電気的に絶縁し、その絶縁により接地回路が切り離されることでバックエンド側の負荷システムを過渡的な高電圧サージから保護し、信号の歪みを低減させる必要があります。


調整可能な正負出力電圧

絶縁型DC-DCコンバータはフローティング出力を持っていて、正負両方の電圧を供給することができます。

この汎用性は一貫した極性を維持しながら絶縁された入出力電圧の構成を必要とする機器に最適です。

バッテリーとクロスプラットフォーム互換アプリケーション

アプリケーションによっては厳密には絶縁が必要とされない場合もあります。しかしながら絶縁型DC-DCコンバータを使用することによりシステムからの要求を満たしながら入力電圧の昇圧を簡素にすることができます。
この柔軟性は、電力要件が多様で、複雑であるシステムにおいてはとりわけ有効です。


まとめ

項目 アイソレート型コンバーターを使用 非アイソレート型コンバーターを使用
個人保護 高い安全性 低い安全性
システム負荷の保護 電源異常が発生した場合、負荷損失が少ない 電源異常が発生した場合、負荷損失が大きい
コモンモード耐干渉性 高い耐干渉レベル 低い耐干渉レベル
正負電圧調整 正負出力電圧の調整が可能

正負出力電圧の調整が不可

コモン接地と電流回路 入力と出力の間に電気的な接続がなく、絶縁状態を維持

入力と出力が共通接地され、直流回路が形成

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他のトピックにもご興味がありましたら → モジュール型パワーコンバータを選ぶ理由 その主な利点と用途は



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